自律神経の乱れに関する当院の考え・治療を少しずつ追記していきます。

少し長いので気軽にお読みください。

 

結論から言いますと「頭の中の流れを正して、脳からの命令・伝達機能を改善させる」ことです。

 

例えば

慢性的な疲労、倦怠感、イライラ・不安感・やる気が出ない・ゆううつになる・感情の起伏が激しい・あせりを感じるなどの情緒不安定、光や音が苦手になる、口やノドの不快感、めまい、立ちくらみ、耳鳴り、偏頭痛、手足の冷え、息苦しさ、動悸、ほてり、多汗、睡眠障害、胃腸不良、便秘、下痢、手足のしびれ、頻尿、残尿感など

 

上記の症状などを検査しても異常がない場合、一般的に自律神経失調症と言われることが多々あるかと思います。

これらを当院では下位脳(頭部bcレベル:下図参照)の問題と考えますので、自律神経失調症は下位脳の問題です。

 

下位脳は、アトラスの炎症、不規則な生活習慣(夜型)、過度・長期のストレス、感情の乱れ、疲労、生活や職場・人間環境の変化、オーバーワーク(過労働)、姿勢不良、気象(低気圧・寒暖差)、ホルモンバランスの変化、虚弱体質や体質変化など様々な要因で頭の中が不安定となり、バランスが崩れます。

 

その結果、脳からの命令・伝達機能が悪くなり、体に様々な不調が起こります

これが下位脳症状です。

 

*アトラスとは生命活動を全身に伝える首の一番上の骨で、頭を支えるため負荷がかかりやすく、障害を受けやすい箇所です


自律神経が乱れるのは上記で示したように頭の中・下位脳が問題の中心です。

なぜ乱れるのかを下位脳を例に、もう少し遠絡療法の考えを説明しようと思います。

 

前述したとおり下位脳はアトラスの炎症、感情の乱れ、ストレス、疲労、姿勢不良などが要因で問題が発生します。

この中で重要な「アトラスの炎症」と「ストレス」による下位脳障害(自律神経失調症)を中心に、もう少し詳しく説明しようと思います。

 

① アトラスの炎症による間脳蓄積(視床・視床下部)

② アトラスの炎症が延髄に波及(迷走神経)

③ ストレスによる視床・視床下部の不安定化

④ ウイルスによる脳内の炎症

⑤ 脊髄の炎症圧迫による迷走神経障害(脊髄→視床)

 

上記の5つに共通するのは、⑤は少し過程が違いますが間脳(視床・視床下部)、迷走神経とも頭の中の問題です。

 

よく検査をしても問題がなく

「ストレスにより自律神経が乱れていると考えられるので、ストレスを解消しながら無理せず静養してください。」

と言われることがあるかと思います。

 

確かに元凶は対人関係や、環境などの大きなストレス、長期にわたるストレスである場合もあります。

でもその元凶(ストレス)が解決しているのに体調が回復しないのは何故なのか?

 

これは③に当てはまります。ストレスの影響で視床・視床下部が不安定になり、その機能が低下し回復していないからと考えます。これが倦怠感、憂うつ、不眠、酷い冷え症、さらに視床は全身に影響を及ぼすので、他の部分の症状にも悪影響を与えます。

 

そうなると、治療のポイントは「間脳(視床・視床下部)を安定させ機能を回復させる」ことです。

これが遠絡でも最重要である『下位脳治療』です。

 

この下位脳治療は①~⑤、すべてに当てはまります。

 

また④のようにウイルスにより視床・視床下部が炎症し自律神経の乱れによる症状につながることもあります。

最近では新型コロナの後遺症による倦怠感・慢性疲労症候群などは、この可能性を疑っています。

ウイルスによる炎症はアトラスにもおこるので、①・②に繋がります。

 

アトラスの障害・炎症の原因は主に産道通過時の圧迫、重力・姿勢などによる首への負荷、事故や衝撃による頭や首への負荷、子供のころの高熱、ウイルスなどが考えられます。

 

①は

アトラスの炎症→血液細胞や髄液の流れが滞る→間脳(視床・視床下部・下垂体)蓄積→下位脳症状

 

②は

アトラスの炎症→炎症がその上にある延髄に波及→延髄から出ている迷走神経(副交感神経)の機能低下→下位脳症状

 

結果として①~③は混在していることが多いのですが、やることは

アトラスの炎症

間脳蓄積(不安定化)

延髄などの炎症

を取り除くことです

 

すべて『下位脳治療』なので、多くの症状に対応できるのは、このためです。

 

⑤は、迷走神経は背骨の近くを走行しており、背骨の中の脊髄の炎症が波及し、近くの迷走神経の流れに問題が起こることで、その影響が視床に及び、下位脳症状として自律神経の乱れにつながると考えます。

病態5分類で下位脳と脊髄治療がセットと説明した理由の一つです。  


≪迷走神経障害による自律神経失調症≫

これは②(アトラスの炎症が延髄に波及)に当てはまります。

 

ここでのキーワードは、「副交感神経機能低下及び、相対的交感神経亢進」です。

冷え症を例に説明します。

 

遠絡医学では冷え症を大きく3つに分けます。

1.血管性:迷走神経障害

     →手足に触れると冷たい

2.神経性:視床下部~脊髄の障害

     →冷えを感じるが手足は温かい

3.血管性と神経性の複合

     →自覚・他覚的に冷感を感じる

 

1.の血管性による冷えが、迷走神経障害による自律神経失調症です。

皆さんは遅刻しそうで焦ったとき・人前での発表で緊張したときなど、手足に冷えを感じた経験はありませんか?

このとき上図➋のように交感神経の働きが優位になっています。すると血管が収縮し血流が低下します。血液は熱も運ぶため、冷えを感じます。血管の細い末端の指先は特に冷たくなります。

 

では交感神経が優位にならない、むしろリラックスしている時も冷えを感じるのは何故なのでしょうか?自律神経の調整がおかしくなり、常に交感神経が優位になっているのでしょうか?

 

当院では、まず➌のように考えます。

アトラスの延髄への炎症波及などで迷走神経(副交感神経)の働きが低下し、その状態が続いたことで、副交感神経の機能が低下した状態が基準となります。

その基準から見ると交感神経の機能が亢進しているように見えます。

この状態が日常的に起こり、常に体内が(相対的に)交感神経優位状態となり血管が収縮し、冷えにつながったと考えます。

これが「副交感神経機能低下及び、相対的交感神経亢進」です。

 

よって、治療は副交感神経(迷走神経)の機能を上げることです。

これも下位脳治療です。

 

1.の血管性は比較的早く改善します。治療中に足などが温かくなる方もいます。

2.は間脳蓄積症状で時間のかかる症例です。手足両方の冷えが多く、足の冷えの方が特に時間のかかる印象です。

特に温度に対する体のセンサーに異常をきたしてることが多く、とても高い温度(42度以上)の入浴を好むなど、更に自律神経を乱す悪循環を起こしている方が多いです。

3.は2.と同様に時間がかかります。

 

当院の患者さんはほとんどが冷え性もあり、3.の方が多いです。

特徴的なのは治療をすると、一時的に手足が冷えるパターンが多いです。

治療により血管が開いても、全身に血液を送り込む力が弱いので起こったと考えられます。